税金の使い方を変えて、市民生活、福祉や教育、地域住民要望最優先に!
市長や安倍政権が描く「都市像」「国家像」、「コンパクトシティ」のために市民がいるのではありません。住民一人ひとりが主人公です。住民一人ひとりの幸福追求権を保障するために、憲法に保障された人権保障のためにこそ、地方自治体があるのです。これこそ立憲主義です。
- アンバランスな「コンパクトシティ」政策
- 中心部への偏重と、周辺部との格差が、ますます顕著になっています。市民のみなさんの不安と不満の声も大きくなっています。
- 中心市街地にますます偏重し、強いものを助ける税金の使い方!
- 「総曲輪3丁目地区市街地再開発事業」
- 「桜町1丁目4番地区市街地再開発事業」
- 「大型商業施設等誘致事業費」力のあるものに1億円!
- 「高齢社会における交通と健康モニタリング調査事業」は、開発に2億円をかけたいわゆる「おでかけっち」
- 「自転車市民共同利用システム ステーション増設事業」は、フランス製の青いレンタル自転車「アヴィレ」についに3億円超え!
- フラワーハンギングバスケットには年間6500万円もかけられます!
- 住民要望や子どもには冷たい市政
- 「行政改革」でさらなる職員削減に反対!
2017.3.22.wed.
議案第1号 平成29年度富山市一般会計予算 反対討論
日本共産党議員団 赤星ゆかり
おはようございます。日本共産党議員団の赤星ゆかりです。
ただいま議題となっております議案52件のうち、議案第1号 平成29年度富山市一般会計予算について、日本共産党議員団を代表して、反対討論を行います。
反対理由を述べる前に、まず議会費についてふれます。
今定例会から、いよいよ、インターネットによる議会中継が始まりました。全国中核市で一番遅い実施です。たいへんお待たせいたしました。
富山市議会は、昨年来の議員報酬月額10万円引き上げ問題、政務活動費の不正問題を反省し、市民に開かれた議会改革を進め、新年度の議会費では、政務活動費の領収書等をインターネットで公開するための経費、ケーブルテレビによる中継の導入調査費などを盛り込んでいます。
また、政務活動費の大きな会派ほど加算される仕組みを廃止し、1日4000円の会議出席費用弁償の廃止、海外視察の廃止などで経費節減に努め、議会費では今年度比1223万2千円の減となっていることをご報告します。
さて、安倍政権の「アベノミクス」は、一部輸出大企業と富裕層をさらに潤す一方で、国民の暮らしや中小企業・農業など、大多数の国民には負担増と格差拡大をもたらしてきました。
市長は提案理由の説明で「我が国経済は堅調な動き」「景気全体としては、緩やかな回復基調が続いている」と述べられましたが、富山市の新年度予算の歳入でも、株式市場の動向から配当割交付金と株式等譲渡所得割交付金が、合わせて3億2400万円の減を見込み、消費の「伸び悩み」から地方消費税交付金は10億1900万円の減が見込まれ、景気の厳しさがうかがえます。
安倍政権の各種の負担増、高い医療費に国保料、介護保険料・利用料、高い教育費や奨学金の返済など、重い負担で、多くの市民の生活には余裕がありません。年金支給額の相次ぐ引き下げで、高齢者のみなさんの怒りも広がっています。
富山市は、市民生活の実態に寄り添い、国の悪政から市民の暮らしをまもり応援をする市政になることが、ますます切実に求められています。
4月に市長選があるので「骨格予算」ということですが、
新年度予算に盛り込まれた、
◎こども発達支援室など、子育て支援策
◎ひとり親お助け隊、ひとり親雇用奨励金など、ひとり親家庭の支援策
◎認知症総合支援事業、◎障害者就労支援促進
◎まちなか総合ケアセンター ◎まちなか診療所
◎病児保育 ◎産後ケア など、福祉での新規事業
◎スクールソーシャルワーカーの市独自のさらなる増員
◎学校や市立公民館の耐震化工事の推進
◎八田橋の架け替え工事をはじめ、道路や橋梁の維持補修・長寿命化
市民に身近な公共事業費の確保など、前進面を、率直に評価するものです。
なかでも、日本共産党と市民運動が長年求めてきた、
◎こども医療費助成制度の拡充については、中学3年生まで①現物給付=窓口無料に、②月1000円の一部負担金廃止、③所得制限の廃止が、今年10月1日から実現することになったことは、市議会の全会派がそろって市長に要望し、市長はその重みを受け止めて実施に踏み切られた、その英断を改めて歓迎いたします。
しかし、予算案はすべて一体に提案され、ひとつひとつの事業で切り離して採決できないため、全体の中に、市民感覚で「おかしい」と思うものが含まれていれば、反対せざるを得ません。なんでも賛成では、議会のチェック機能が問われます。
「予算に反対したから実績はない」などと、事実と違うことを吹聴する人がたまにおられるやに聞いておりますので、誤解のないように、念のため、申し上げておきます。
なお、16日の本会議で補正予算の審議に当たっての自民党会派の賛成討論で、補正予算に「子ども医療費助成の拡充が含まれている」と述べられましたが、補正予算は従来の制度で申請件数が増えた分の補正でしたので、完全な間違いです。訂正されるよう進言いたします。
- アンバランスな「コンパクトシティ」政策
富山市は「コンパクトシティ」や「環境未来都市」政策を、「公共交通を軸にした、串と団子のコンパクトなまちづくり」として進められてきました。世界で国内で富山市の注目度を高めてきた、そのことは否定しませんが、私たちは、その政策をひとつひとつ慎重に見極めるよう、努めてまいりました。
合併からこの4月で12年。富山市の中心部だけが、巨大な「お団子」になり、周辺地域の人口減少と「少子化・高齢化」が、ますます加速化しています。
私たち、日本共産党議員団が今年1月末から実施した「市民アンケート」に、現在までに2100通を超えるご回答をいただきました。この場をお借りして、ご協力に心から感謝いたします。
その回答では、「中心市街地に税金を投入しすぎ」が46.5%、「周辺部にもっと税金を投入すべき」が39.3%、「コンパクトシティに賛成」は、わずか10.2%です。
こうした市民のみなさんの声を紹介し、各施策について触れながら、以下、予算案の反対理由を申し上げます。
- 中心部への偏重と、周辺部との格差が、ますます顕著になっています。
市民のみなさんの不安と不満の声も大きくなっています。
周辺部では人口減少、スーパーや開業医がなくなり、公共交通の不便さへの不満の声も高まっています。
地方自治法の「支所」としての総合行政センターが昨年3月で廃止され、さらに公共施設の再編で、廃止や統廃合などが進められれば、その地域での市民生活自体が持続可能でいられるのか危惧されます。
いま必要なのは、地域のことは地域住民が話し合って決める、都市内分権として、各地域に住民自治の仕組みを復活させることです。代表質問で、地方自治法にもとづく地域自治区の導入をあらためて提案しましたが、市長は否定されました。
- 中心市街地にますます偏重し、強いものを助ける税金の使い方!
富山市は「コンパクトシティ」政策の名のもとに、人口比で全国一という多数の再開発事業を進め、中心市街地に莫大な税金が投入されてきました。森市政になって以降、完成したもの、建設中のものを合わせて、総事業費では800億円を超え、そのうち国・県・市からの補助金と、保留床取得額など合わせると、400億円を超える税金が投入され、新年度予算にも引き続き盛り込まれています。
- 「総曲輪3丁目地区市街地再開発事業」は、旧富山西武跡地の再開発で、6階以上の206戸を住宅・建設業者最大手「大和ハウス」がマンション販売する事業です。これに補助金11億4千510万円が計上されています。総事業費は156億円で、昨年5月時点より18億円も膨らみ、国・県・市からの補助金総額は約60億円で11億円も増えています。
- 「桜町1丁目4番地区市街地再開発事業」は、大手ホテル業者の「東横イン」、分譲マンション業者「タカラレーベン」が大きな部分を占める事業に補助金4億24,05万4千円が計上されています。総事業費は81億円で、そのうち国・県・市からの補助金総額は、昨年5月時点より6億円増え、35億円になるものです。
- 「大型商業施設等誘致事業費」力のあるものに1億円!
さらに、この再開発ビルに入居する、学校法人「大原学園」には「大型商業施設等誘致事業」で整備資金として1億円の補助が計上されています。財源内訳は、市の一般財源が6620万円、国の社会資本整備総合交付金が3380万円です。
同学校法人は、2016年4月時点で、全国で105校、基本金が1128億円の超優良専門学校です。このような力のある民間法人に、なぜ、国民・市民の貴重な税金から、1億円もの支援が必要なのでしょうか。
- この「大型商業施設等誘致補助金」については、今年度当初予算で、総曲輪西地区市街地再開発事業で進出した県外のシネコン運営会社に、初めて1億円が補助されましたが、日本共産党は昨年3月議会で反対しました。その「総曲輪ユウタウン」については、映画館の営業に対する疑問やテナントの早期撤退など、今議会で複数の会派と議員のみなさんから懸念する質問が相次ぎました。
一方で、株式会社まちづくりとやまが運営していた総曲輪フォルツァは、「シネコンが主流となる中、減少傾向にあるインディーズ系映画を上映」してファンも多く、まちの魅力として貴重な映画館でしたが、シネコンができた影響で「休止」されています。
こうした大型商業施設を超優遇する補助金そのものを見直すべきです。
- 「高齢社会における交通と健康モニタリング調査事業」は、開発に2億円をかけたいわゆる「おでかけっち」端末機の調査委託費等に、今年度も2500万円、さらに来年度1211万8千円を支出して、高齢者対策にどれだけ生かされるのか、また、費用対効果からも、はなはだ疑問です。
昨年の3月まで、年間687万円の補助金で株式会社まちづくりとやまが運営していた中央通りの「街なかサロン『樹の子』」は、高齢者の公共交通を利用した外出の動機づけ、安心して立ち寄れる休憩と交流の場、趣味教室やミニ・チャレンジショップなど活動と発表の場として、年間約6万人の利用がありました。この存続を願う高齢者を中心とした利用者が必死で集めた署名も無視して、一方的に廃止されました。生きた市民の声を聞かず、「おでかけっち」GPSで高齢者の行動を調査分析し、「高齢者の外出促進策」「高齢者に配慮した交通環境等の検討」、必要な休憩施設等を整備するなどという説明は、まったく納得がいきません。
- 「自転車市民共同利用システム ステーション増設事業」5040万1千円は、フランス製の青いレンタル自転車「アヴィレ」のステーションを、①富山大学五福キャンパスと②呉羽丘陵多目的広場と③民族民芸村の3カ所増設し、自転車35台、ラック70基ほか増やすものです。
そもそも、市民の声も、市内の自転車業者等の声も聞かずに、トップダウンで始まったこの事業、今回で、ついに合計3億1510万1千円です。
1月までの利用実績は、全体で1台当り1日1.24回稼働、1回当りの平均利用時間は約10.64分ですが、水墨画美術館前が最低で、1月までの10ヶ月で371回、富山大学前は1361回。これは明らかに失敗ではないでしょうか。
なお、この自転車は、市役所職員の会員数が167人とのことです。市が職員に使うよう奨励していることが見えます。市民からは「市役所の人のための自転車か」などの批判が聞かれます。私たちが行った「市民アンケート」の回答では、「やめるべき」が65.2%、「続けるべき」は7.2%です。さらなる多額の税金投入は許されません。
さらに言えば、この自転車は走る時は電動ではなく、止まっている間、コンピュータ管理のため24時間電気を消費しています。年間1万kw/hを超えます。これが「地球温暖化対策推進事業費」というのも矛盾しています。
●フラワーハンギングバスケットには来年度も6500万円もかけられます。
花はきれいですが、この事業費を説明する責任が私たちにはあります。吉田議員が質問で取り上げた「生きがい対応型デイサービス」の委託費は、年間約200万円です。税金の使い方にほんとうに驚きます。
花でまちを飾る事業は、少ない予算でも、市民が快く楽しく協力・参画できるよう、やり方を研究すべきです。
- 住民要望や子どもには冷たい市政
一方で、道路、河川、公園の地元要望は今年度に出された要望660件のうち、今年度と来年度の2か年で対応されるのは、395件、60%、来年度予算は2億6930万円です。
また、小中学校の普通教室のクーラー設置も、必要性が認められながら、学校の耐震化工事を優先するため、財政的理由から導入は数年先との答弁でした。
税金の使い方を変えて、市民生活、なかでも児童の最善の利益、こどもたちのいのちと健康を守るために、最優先で取り組むべきです。
- 「行政改革」で職員削減に反対!
第3期「行政改革実施計画」「定員適正化計画」で、新たに5年間で職員総数をさらに54人削減し、民間委託や民営化を拡大する方針に、反対です。
H17年4月1日時点とH28年4月1日時点では、職員数が641人も削減されています。そのうち主に削減されたのは、保育所民営化による保育士が148人、学校給食調理業務の民間委託で調理員が154人、ごみ収集の清掃業務員が75人など、市民の命と暮らしを支える現業の人たちです。
富山市立の保育所と私立の職員の賃金格差は、新採で年間40万円、30歳で90万円近くもあります。
学校給食の単独校調理業務民間委託は5年間で11カ所となりましたが、今後、まだ増やす方針に反対です。これまで委託された会社の求人情報では、パートの調理補助の人は、学期ごとの雇用で、経験不問、資格不問の非正規雇用となっています。人件費を抑えるために、正社員を少なく、パート調理員を多くしています。
委託先の同じ会社の中でも、カラオケホールのスタッフなどより給食パート調理員の方が時給が低く、最低賃金ぎりぎりです。
また、旧町村の役場から総合行政センターになり、さらに今年度から支所が廃止されて「行政サービスセンター」「中核型地区センター」となりましたが、その職員数も、11年間で369人から198人と、合計171人も削減されてきました。
市の臨時的任用職員の時給は一番安い人で810円、1日最大7時間30分働いても年収は200万円に届くか届かないか、「官製ワーキングプア」を創り出しています。だれもが8時間働けば普通に暮らせる社会をめざすべきです。
職員数削減が、月100時間を超える残業をしている人が市長部局・上下水道局、教育委員会、市民病院、消防局あわせて197人という、市長も驚かれた長時間過密労働に影響していることは、否定できません。
昨日、滋賀県では「働き方改革」のために、職員定数を増やす条例案が可決されたと聞きました。全体の奉仕者である公務員を減らし続ける「行革」はもうやめるべきです。
最後に、みなさん、
◎私たちは、くり返し主張します。市長や安倍政権が描く「都市像」「国家像」、「コンパクトシティ」のために市民がいるのではありません。住民一人ひとりが主人公です。住民一人ひとりの幸福追求権を保障するために、憲法に保障された人権保障のためにこそ、地方自治体があるのです。これこそ立憲主義です。
市民の切実な声や暮らしによりそって、どの地域に住んでいても、本当に安心して暮らし続けられるまちづくり、すべての一人ひとりの市民に寄り添う、あたたかい富山市政をみんなでつくることをみなさんに呼びかけまして、日本共産党議員団の反対討論といたします。