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「平成29年度富山市一般会計補正予算等 反対討論」(2018年3月15日)
赤星ゆかり

カテゴリー: 議会報告

*この文章は、議員の発言した原稿を掲載したものであり、富山市議会の正式の記録ではありません。

日本共産党 赤星ゆかり

ただいま議題となっております議案第60号 平成29年度富山市一般会計補正予算のうち、議員と、市長・副市長など特別職の期末手当の引き上げの増額分、及び昨年12月分と来年度からの年間の支給月数を引き上げる条例である議案第74号 富山市議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例制定の件、及び議案第75号 市長及び副市長の給与に関する条例等の一部を改正する条例制定の件、以上3件について、日本共産党の反対討論を行います。

引き上げの理由は、昨年の国の人事院勧告、県の人事委員会勧告に準じてとのことですが、一般職や、市民病院の医師・助産師・看護師らの給料や勤勉手当や初任給引き上げには反対するものではありません。

公務員および国営企業・地方公営企業職員については、法律によって、団結権および団体交渉権が制限され、争議権は認められておらず、“人事院勧告”は、この「労働三権」を制限される代償的措置としての役割を持つもの、とされています。

しかし、議員や市長・副市長など特別職については、人事院勧告に合わせなければならない決まりもなく、とくにボーナスを引き上げる必要性・緊急性もありません。

この引き上げによって、昨年12月分は遡って追加支給されるとのことです。

議員は 年間 4万4千円の引き上げ
来年度から
6月支給分が134万9千円から137万1千円に
12月支給分は147万9千円から150万1千円に

市長は 年間 7万8千円の引き上げ
来年度から
6月が241万7千円から245万6千円に
12月は265万円から268万9千円となります。

議長、副議長、議員、市長、副市長、教育長、常勤監査委員、上下水道事業管理者及び病院事業管理者、政策監の、引き上げの総額は、あわせて年間213万7千円、そのうち、議員の分は166万4千円です。一般会計補正予算にはこのうち201万7千円が含まれています。

新年度予算の提案理由説明で、市長は「本市の財政は、大変厳しい状況にあります」と述べられました。

きのうの春闘、大手一斉回答では「ベースアップ 前年超え相次ぐ」と報道されていますが、一般市民は、年金の減額や、実質賃金はこの間下がる一方でした。国によって生活保護費も引き下げられようとしています。電気料金をはじめ公共料金の値上げ、食糧品など物価の上昇に市民の不安が募ります。このときに、議員や市の特別職のボーナスアップではなく、少しでも市民生活や福祉や教育の財源として活用されるべきと思いませんか。

たとえば、今議会で何人もの議員から質問があった「地域児童健全育成事業」=「子ども会」は、市内60カ所分の委託料が新年度は年間1億8430万2千円で、1カ所あたり平均307万1700円です。1カ所でも、学童保育を増やしてほしい、指導員さんを増員してほしい、空間を確保してほしい…。また、学校の備品を買うお金に、学校に小型除雪機械を買うお金に…などなど、みなさん、どう思われますか。

このことを、議員のみなさんに呼びかけまして、反対討論といたします。

【MEMO】
人事院勧告とは

(3) 国家公務員の給与などの変更に関する国会ならびに内閣に勧告する権限 (国家公務員法 22,23,28) が認められており,人事行政の最高機関とみなされている。このうち,一般には (3) の勧告が最も重要視されており,単に人事院勧告という場合にはこれをさす。人事院は国家公務員の給与に関して,毎年少くとも1回以上国家公務員の俸給表が適当であるか否かについて国会と内閣に報告しなければならないが,給与の5%以上を増減させる必要が認められるときには,報告にあわせて必要な勧告をしなければならないこととなっている (28条2項) 。

人事院勧告は、国家公務員の労働基本権制限の代償的措置としての役割をもつものとされる。

労働基本権:日本国憲法に保障された生存権を実現するための手段として,労働者に保障される勤労権および団結権,団体交渉権,争議権をいう。勤労権の保障は,国が労働者に対して就業の機会を与えるべき政治的責任を負うことを意味するにすぎないから,労働基本権の中心は上記の労働三権であり,これらの権利は労働組合法などによって具体的に保障されている。ただし,公務員および国営企業・地方公営企業職員については,法律によって団結権および団体交渉権が制限され,争議権は認められていない。

以下は、昨年の3月議会の当初予算反対討論です。

 

反対理由を述べる前に、まず議会費についてふれます。

今定例会から、いよいよ、インターネットによる議会中継が始まりました。全国中核市で一番遅い実施です。たいへんお待たせいたしました。

富山市議会は、昨年来の議員報酬月額10万円引き上げ問題、政務活動費の不正問題を反省し、市民に開かれた議会改革を進め、新年度の議会費では、政務活動費の領収書等をインターネットで公開するための経費、ケーブルテレビによる中継の導入調査費などを盛り込んでいます。

また、政務活動費の大きな会派ほど加算される仕組みを廃止し、1日4000円の会議出席費用弁償の廃止、海外視察の廃止などで経費節減に努め、議会費では今年度比1223万2千円の減となっていることをご報告します。

 

さて、安倍政権の「アベノミクス」は、一部輸出大企業と富裕層をさらに潤す一方で、国民の暮らしや中小企業・農業など、大多数の国民には負担増と格差拡大をもたらしてきました。

市長は提案理由の説明で「我が国経済は堅調な動き」「景気全体としては、緩やかな回復基調が続いている」と述べられましたが、富山市の新年度予算の歳入でも、株式市場の動向から配当割交付金と株式等譲渡所得割交付金が、合わせて3億2400万円の減を見込み、消費の「伸び悩み」から地方消費税交付金は10億1900万円の減が見込まれ、景気の厳しさがうかがえます。

安倍政権の各種の負担増、高い医療費に国保料、介護保険料・利用料、高い教育費や奨学金の返済など、重い負担で、多くの市民の生活には余裕がありません。年金支給額の相次ぐ引き下げで、高齢者のみなさんの怒りも広がっています。

富山市は、市民生活の実態に寄り添い、国の悪政から市民の暮らしをまもり応援をする市政になることが、ますます切実に求められています。

 

4月に市長選があるので「骨格予算」ということですが、
新年度予算に盛り込まれた、

◎こども発達支援室など、子育て支援策
◎ひとり親お助け隊、ひとり親雇用奨励金など、ひとり親家庭の支援策
◎認知症総合支援事業、◎障害者就労支援促進
◎まちなか総合ケアセンター ◎まちなか診療所
◎病児保育 ◎産後ケアなど、福祉での新規事業
◎スクールソーシャルワーカーの市独自のさらなる増員
◎学校や市立公民館の耐震化工事の推進
◎八田橋の架け替え工事をはじめ、道路や橋梁の維持補修・長寿命化
市民に身近な公共事業費の確保など、前進面を、率直に評価するものです。

なかでも、日本共産党と市民運動が長年求めてきた、

◎こども医療費助成制度の拡充については、中学3年生まで(1)現物給付=窓口無料に、(2)月1000円の一部負担金廃止、(3)所得制限の廃止が、今年10月1日から実現することになったことは、市議会の全会派がそろって市長に要望し、市長はその重みを受け止めて実施に踏み切られた、その英断を改めて歓迎いたします。

しかし、予算案はすべて一体に提案され、ひとつひとつの事業で切り離して採決できないため、全体の中に、市民感覚で「おかしい」と思うものが含まれていれば、反対せざるを得ません。なんでも賛成では、議会のチェック機能が問われます。

「予算に反対したから実績はない」などと、事実と違うことを吹聴する人がたまにおられるやに聞いておりますので、誤解のないように、念のため、申し上げておきます。

なお、16日の本会議で補正予算の審議に当たっての自民党会派の賛成討論で、補正予算に「子ども医療費助成の拡充が含まれている」と述べられましたが、補正予算は従来の制度で申請件数が増えた分の補正でしたので、完全な間違いです。訂正されるよう進言いたします。

●アンバランスな「コンパクトシティ」政策

富山市は「コンパクトシティ」や「環境未来都市」政策を、「公共交通を軸にした、串と団子のコンパクトなまちづくり」として進められてきました。世界で国内で富山市の注目度を高めてきた、そのことは否定しませんが、私たちは、その政策をひとつひとつ慎重に見極めるよう、努めてまいりました。

合併からこの4月で12年。富山市の中心部だけが、巨大な「お団子」になり、周辺地域の人口減少と「少子化・高齢化」が、ますます加速化しています。

私たち、日本共産党議員団が今年1月末から実施した「市民アンケート」に、現在までに2100通を超えるご回答をいただきました。この場をお借りして、ご協力に心から感謝いたします。

その回答では、「中心市街地に税金を投入しすぎ」が46.5%、「周辺部にもっと税金を投入すべき」が39.3%、「コンパクトシティに賛成」は、わずか10.2%です。

こうした市民のみなさんの声を紹介し、各施策について触れながら、以下、予算案の反対理由を申し上げます。

●中心部への偏重と、周辺部との格差が、ますます顕著になっています。

市民のみなさんの不安と不満の声も大きくなっています。

周辺部では人口減少、スーパーや開業医がなくなり、公共交通の不便さへの不満の声も高まっています。

地方自治法の「支所」としての総合行政センターが昨年3月で廃止され、さらに公共施設の再編で、廃止や統廃合などが進められれば、その地域での市民生活自体が持続可能でいられるのか危惧されます。

いま必要なのは、地域のことは地域住民が話し合って決める、都市内分権として、各地域に住民自治の仕組みを復活させることです。代表質問で、地方自治法にもとづく地域自治区の導入をあらためて提案しましたが、市長は否定されました。

●中心市街地にますます偏重し、強いものを助ける税金の使い方!

富山市は「コンパクトシティ」政策の名のもとに、人口比で全国一という多数の再開発事業を進め、中心市街地に莫大な税金が投入されてきました。森市政になって以降、完成したもの、建設中のものを合わせて、総事業費では800億円を超え、そのうち国・県・市からの補助金と、保留床取得額など合わせると、400億円を超える税金が投入され、新年度予算にも引き続き盛り込まれています。

●「総曲輪3丁目地区市街地再開発事業」は、旧富山西武跡地の再開発で、6階以上の206戸を住宅・建設業者最大手「大和ハウス」がマンション販売する事業です。これに補助金11億4千510万円が計上されています。総事業費は156億円で、昨年5月時点より18億円も膨らみ、国・県・市からの補助金総額は約60億円で11億円も増えています。

●「桜町1丁目4番地区市街地再開発事業」は、大手ホテル業者の「東横イン」、分譲マンション業者「タカラレーベン」が大きな部分を占める事業に補助金4億24,05万4千円が計上されています。総事業費は81億円で、そのうち国・県・市からの補助金総額は、昨年5月時点より6億円増え、35億円になるものです。

●「大型商業施設等誘致事業費」力のあるものに1億円!

さらに、この再開発ビルに入居する、学校法人「大原学園」には「大型商業施設等誘致事業」で整備資金として1億円の補助が計上されています。財源内訳は、市の一般財源が6620万円、国の社会資本整備総合交付金が3380万円です。

同学校法人は、2016年4月時点で、全国で105校、基本金が1128億円の超優良専門学校です。このような力のある民間法人に、なぜ、国民・市民の貴重な税金から、1億円もの支援が必要なのでしょうか。

●この「大型商業施設等誘致補助金」については、今年度当初予算で、総曲輪西地区市街地再開発事業で進出した県外のシネコン運営会社に、初めて1億円が補助されましたが、日本共産党は昨年3月議会で反対しました。その「総曲輪ユウタウン」については、映画館の営業に対する疑問やテナントの早期撤退など、今議会で複数の会派と議員のみなさんから懸念する質問が相次ぎました。

一方で、株式会社まちづくりとやまが運営していた総曲輪フォルツァは、「シネコンが主流となる中、減少傾向にあるインディーズ系映画を上映」してファンも多く、まちの魅力として貴重な映画館でしたが、シネコンができた影響で「休止」されています。

こうした大型商業施設を超優遇する補助金そのものを見直すべきです。

●「高齢社会における交通と健康モニタリング調査事業」は、開発に2億円をかけたいわゆる「おでかけっち」端末機の調査委託費等に、今年度も2500万円、さらに来年度1211万8千円を支出して、高齢者対策にどれだけ生かされるのか、また、費用対効果からも、はなはだ疑問です。

昨年の3月まで、年間687万円の補助金で株式会社まちづくりとやまが運営していた中央通りの「街なかサロン『樹の子』」は、高齢者の公共交通を利用した外出の動機づけ、安心して立ち寄れる休憩と交流の場、趣味教室やミニ・チャレンジショップなど活動と発表の場として、年間約6万人の利用がありました。この存続を願う高齢者を中心とした利用者が必死で集めた署名も無視して、一方的に廃止されました。生きた市民の声を聞かず、「おでかけっち」GPSで高齢者の行動を調査分析し、「高齢者の外出促進策」「高齢者に配慮した交通環境等の検討」、必要な休憩施設等を整備するなどという説明は、まったく納得がいきません。

●「自転車市民共同利用システム ステーション増設事業」5040万1千円は、フランス製の青いレンタル自転車「アヴィレ」のステーションを、(1)富山大学五福キャンパスと(2)呉羽丘陵多目的広場と(3)民族民芸村の3カ所増設し、自転車35台、ラック70基ほか増やすものです。

そもそも、市民の声も、市内の自転車業者等の声も聞かずに、トップダウンで始まったこの事業、今回で、ついに合計3億1510万1千円です。

1月までの利用実績は、全体で1台当り1日1.24回稼働、1回当りの平均利用時間は約10.64分ですが、水墨画美術館前が最低で、1月までの10ヶ月で371回、富山大学前は1361回。これは明らかに失敗ではないでしょうか。

なお、この自転車は、市役所職員の会員数が167人とのことです。市が職員に使うよう奨励していることが見えます。市民からは「市役所の人のための自転車か」などの批判が聞かれます。私たちが行った「市民アンケート」の回答では、「やめるべき」が65.2%、「続けるべき」は7.2%です。さらなる多額の税金投入は許されません。

さらに言えば、この自転車は走る時は電動ではなく、止まっている間、コンピュータ管理のため24時間電気を消費しています。年間1万kw/hを超えます。これが「地球温暖化対策推進事業費」というのも矛盾しています。

●フラワーハンギングバスケットには来年度も6500万円もかけられます。

花はきれいですが、この事業費を説明する責任が私たちにはあります。吉田議員が質問で取り上げた「生きがい対応型デイサービス」の委託費は、年間約200万円です。税金の使い方にほんとうに驚きます。

花でまちを飾る事業は、少ない予算でも、市民が快く楽しく協力・参画できるよう、やり方を研究すべきです。

●住民要望や子どもには冷たい市政

一方で、道路、河川、公園の地元要望は今年度に出された要望660件のうち、今年度と来年度の2か年で対応されるのは、395件、60%、来年度予算は2億6930万円です。

また、小中学校の普通教室のクーラー設置も、必要性が認められながら、学校の耐震化工事を優先するため、財政的理由から導入は数年先との答弁でした。

税金の使い方を変えて、市民生活、なかでも児童の最善の利益、こどもたちのいのちと健康を守るために、最優先で取り組むべきです。

●「行政改革」で職員削減に反対!

第3期「行政改革実施計画」「定員適正化計画」で、新たに5年間で職員総数をさらに54人削減し、民間委託や民営化を拡大する方針に、反対です。

H17年4月1日時点とH28年4月1日時点では、職員数が641人も削減されています。そのうち主に削減されたのは、保育所民営化による保育士が148人、学校給食調理業務の民間委託で調理員が154人、ごみ収集の清掃業務員が75人など、市民の命と暮らしを支える現業の人たちです。

富山市立の保育所と私立の職員の賃金格差は、新採で年間40万円、30歳で90万円近くもあります。

学校給食の単独校調理業務民間委託は5年間で11カ所となりましたが、今後、まだ増やす方針に反対です。これまで委託された会社の求人情報では、パートの調理補助の人は、学期ごとの雇用で、経験不問、資格不問の非正規雇用となっています。人件費を抑えるために、正社員を少なく、パート調理員を多くしています。

委託先の同じ会社の中でも、カラオケホールのスタッフなどより給食パート調理員の方が時給が低く、最低賃金ぎりぎりです。

また、旧町村の役場から総合行政センターになり、さらに今年度から支所が廃止されて「行政サービスセンター」「中核型地区センター」となりましたが、その職員数も、11年間で369人から198人と、合計171人も削減されてきました。

市の臨時的任用職員の時給は一番安い人で810円、1日最大7時間30分働いても年収は200万円に届くか届かないか、「官製ワーキングプア」を創り出しています。だれもが8時間働けば普通に暮らせる社会をめざすべきです。

職員数削減が、月100時間を超える残業をしている人が市長部局・上下水道局、教育委員会、市民病院、消防局あわせて197人という、市長も驚かれた長時間過密労働に影響していることは、否定できません。

昨日、滋賀県では「働き方改革」のために、職員定数を増やす条例案が可決されたと聞きました。全体の奉仕者である公務員を減らし続ける「行革」はもうやめるべきです。

 

最後に、みなさん、

◎私たちは、くり返し主張します。市長や安倍政権が描く「都市像」「国家像」、「コンパクトシティ」のために市民がいるのではありません。住民一人ひとりが主人公です。住民一人ひとりの幸福追求権を保障するために、憲法に保障された人権保障のためにこそ、地方自治体があるのです。これこそ立憲主義です。

市民の切実な声や暮らしによりそって、どの地域に住んでいても、本当に安心して暮らし続けられるまちづくり、すべての一人ひとりの市民に寄り添う、あたたかい富山市政をみんなでつくることをみなさんに呼びかけまして、日本共産党議員団の反対討論といたします。

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