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2018年9月定例会「補正予算および条例案反対討論」

カテゴリー: 議会報告

日本共産党 赤星ゆかり

ただいま議題となっている議案第117号、及び第126号について、一括して、日本共産党の反対討論を行います。

はじめに、一般会計補正予算のうち、

「富山市センサーネットワーク構築事業費」について、反対です。

学校や地区センター等を中心に約100本程度の受信アンテナを設置し、今年度は小学校2校に協力を依頼して子どもたちのランドセルに1万2千個用意するセンサーを付け、「登下校時のデータを収集する実証実験を行い、得られたデータを登下校時路の危険箇所等データを踏まえ解析し、その結果を関係機関と共有し、現状把握から問題解決までのスキームの構築の検討を行う」としていますが、運用方針や具体的な “利活用”方法等は、来年度に検討するということです。

反対の理由の第一は、

あまりにも話が唐突で、何に使うのか、ハッキリしていないということです。

総務省が採択または応募している他都市の事業概要を見ると、こんなに「目的」が曖昧なところはありませんでした。

しかも来年度以降の事業展開には、補助金はないとのことです。センサーをつけていなければデータがとれないので、さらに1個=1万2千円するセンサーを大量に買うのか? 来年度以降、何にいくらの費用が発生するのかまったく不明です。

富山市が「国の平成26年度補正予算で創設された地域再生戦略交付金を」半額「活用して」、2億円もかけて2,000個、開発した「高齢者健康増進端末機『おでかけっち』」で、その後数千万円(要確認)かけて集めたデータは、何かに活用されたのでしょうか?

国の補助金があるから、といって、充分な市民への説明や、必要性・妥当性についても市民参加の議論がない状態での、拙速な取り組みは避けるべきです。

次に、個人情報の問題です。

事業費の半額が、総務省の「データ利活用型スマートシティ推進事業費」補助金です。根拠法の官民データ活用推進基本法は、もともとは財界の要求で、行政機関が持つ個人情報を、主務大臣から指定を受けた事業者が、国や独立法人などに対してデータ提供を要請できる制度の創設が盛り込まれました。国会審議で個人情報保護の問題などが指摘されています。この事業において個人情報を守れる保証について、議論は十分だとはいえない状況です。

子どもや高齢者の「見守り」に何が必要かは、地域住民の市民参加で話し合うことが必要です。

そして、予算額が2億4千万円と、非常に大きいことです。

昨年度、総務省に採択された6つの他都市では、多いところでも事業費1億2千万円(うち補助金6千万円(札幌市))で、あとは1300万円(横浜市)から9千万円(高松市)、それぞれ補助金は半額です。

こういうところに巨額の税金を使うのではなく、直接子どもたちの教育とか、福祉とか、人のためにこそ使うべきです!

さらには、議案説明で「本事業については、総務省の『データ利活用型スマートシティ推進事業』公募への提案を行い、8月10日に採択されており」とありますが、国の補助金の「交付決定は、まだしていない」とのことです。

今からでも辞退すべきです!

学校給食調理業務民間委託に反対

続きまして、来年度から、新庄小学校と山室小学校の、給食室で給食を作る調理業務を、新たに、民間企業に委託する件については、人件費の削減以外に合理的な目的が見当たりません。

小・中学校の給食室の調理業務民間委託は、平成25年度から今年度までで18の小・中学校、17箇所の調理場に広がりました。

一般に、民間企業の持つ技術力や専門性などを否定するものではまったくありません。学校給食はたんなる食事とは違い、学校給食法に位置づけられた教育です。高い専門性と技術力、安定性が必要です。できあがった給食には見えないところに、どういう問題を内包しているかということを、しっかり議論しようではありませんか。

新庄小と、山室小を視察しました。それぞれ正規調理員3名と臨時職員1名の4名体制で、経験豊富な調理員のみなさんが、「絶妙な美味しさで出してくれる」と、学校関係者にも好評です。だれが作っても同じようにできるよう、毎日ローテーションで調理作業のポジションを替わる。給食室の前には、調理員の顔写真と名前が大きく貼り出され、つくる人の顔の見える給食。調理員も(校長をトップとして)“チーム学校”の教職員の一員として、全員で子どもたちの教育に当たっています。

市の正規調理員は98%が有資格者ですが、民間委託は各校に最低2名の有資格者でいいということです。市調理員の平均年収は、給料と手当で平均484万円、一方、これまで民間委託した企業の求人情報では、最低賃金水準でボーナスなし、パートが多く、学歴・資格・経験不問などの条件が多く見られます。来年度2校での経費削減額予定額は約680万円とのことです。

富山市の貴重な税金が、働く人にまわる分が縮小し、東京や大阪にある本社の利潤として吸収されていきます。これでいいのでしょうか。

調査や委員会質疑を通しても、現在の直営の調理業務にとくに問題は見当たらず、民間委託が子どもたち、市民のために、どうしても必要だという理由がありません。

学校栄養士さんが、調理業務の手伝いに手を取られて、本務である食育に専念できない、というのであれば、調理スタッフを拡充し、栄養士を複数校兼務ではなくすべての学校に配置すべきです。

急な病気などで欠員が出た場合、かわりの調理員を探すのがたいへんだというのであれば、学校任せにせず、教育委員会としてその問題を解決すべきです。

さらに、災害時に、学校に地域住民の避難所が開設された場合、地域防災計画には「炊き出しは市の職員をもって充てる」として、職員一人ひとり名前で登録されていますが、民間企業の災害時の行動は、具体化されていません。

子どもたちの身体と心を育む教育である学校給食は、民間委託の対象とせず、市直営を維持し、さらなる拡充を目指すべきです。

23区から本社機能を移転してくる企業に固定資産税3年間免除に反対

続きまして、議案第126号「富山市地方活力向上地域における固定資産税の課税及び不均一課税に関する条例制定の件」は、安倍政権の「地方拠点強化税制」の一つです。3年間軽減の現在の条例では、移転型が1社、拡充型が2社と、企業がたくさん来るような「効果」は見られず、富山市の税収が3社3年分で、約2500万円減りました。前述の、学校給食民間委託で削減された人件費は、ちょうど3年間で約2640万円です。

今度は、「移転型」=本社機能を東京23区内から富山市に移転する企業に、3年間固定資産税ゼロにするという改定案です。

新たに国の“補てん”策が設けられたといいますが、富山市には1年目が減収分の25%、2年目18.75%、3年目12.5%が“地方交付税参入措置の対象になる”ということでしかありません。

法改正で新たに追加されたこの課税免除の規定は、「しなければならない」ではなく「できる」規定であって、効果にも疑問があり、市民の負担になるような改定を行うべきではありません。

「都市基盤整備基金」に6億円積み立てることに反対

最後に、昨年度の決算剰余金約21億円のうち6億円を、「富山市都市基盤整備基金」に積み立てることに反対です。

基金残高は、今年3月現在で23億2441万円、今年度の取り崩し予定額は8億5千万円で、この6億円を積み立てない場合でも、年度末残高は約14億7千万円となります。

この基金は、条例で「都市基盤整備に関する事業」に使途が限られています。

この基金を充当する事業のすべてに反対するものではありませんが、たとえば、今年度充当額が1億3390万円と2番目に大きい「まちなか居住推進事業費」では、過去に大手マンション・ディベロッパー2社に上限いっぱいの5千万円ずつ補助金が出されたこともあります。「なぜマンションに補助!?」など、市民の批判の声もあります。

今回、遅れていた小・中学校普通教室エアコン設置のため、50億円の債務負担行為が提案されていますが、日本共産党は、かねてから、決算剰余金から積み立てるなら、まずは学校耐震化やクーラー設置などに使える「(仮称)教育環境整備基金」を創設して、優先的にと提案してきました。

昨年度決算では、教育費の不用額(用いなかった額)が6億5389万4千円出ています。せめて教育費として予算を組んで使わなかった分は、今年度後半や次年度以降も、教育のために使ってほしい。

以上のことから、都市基盤整備基金に6億円積み立てに反対です。

みなさん、今回の補正予算および条例案の審議を通して、政策決定のあり方、公務労働や教育を支える人の働き方、税金の使い方など、多くの問題が浮かび上がってきました。

議会のチェック機能を発揮して、慎重なる判断を呼びかけまして、反対討論といたします。

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