日本共産党 赤星ゆかり
ただいま議題となっております認定第1号平成29年度富山市一般会計歳出歳入決算について、日本共産党の反対討論を行います。
決算は、どのような政治が行われたかの、現れです。
安倍政権の「アベノミクス」で大企業と富裕層をさらに潤す一方で、国民の暮らしや中小企業・農業など、大多数の国民には負担増と格差拡大、消費者物価の上昇で勤労者の実質賃金は低迷し、年金は下げられ、多くの市民の生活は厳しい状況が続いています。
富山市政は、市民生活の実態に寄り添い、支える施策を推進することが求められています。
昨年度は、市議会全会派で求めた「こども医療費助成制度」の中学3年生まで完全無料化が実現し10月から実施されたほか、子育て支援や産後ケア、ひとり親家庭の支援策など福祉施策、スクールソーシャルワーカーの市独自のさらなる増員、学校や市立公民館の耐震化工事の推進、八田橋の架け替え工事をはじめ、道路や橋梁の維持補修・長寿命化、市民に身近な公共事業費の確保など、前進面については、率直に評価するものです。
しかし、一般会計決算から見えてくるものは、引き続き「コンパクトシティ」政策のもと、税金の使われ方の中心市街地への偏重と、周辺部との格差が、ますます顕著になり、市民のみなさんの不安と不満の声も大きくなっています。
市民が求めてもいない“重点施策”に巨額の投資が際立ち、市民の切実な願いにじゅうぶん応えるものになっているとは言えません。
●中心市街地にますます偏重し、強いものを助ける税金の使い方!
富山市は「コンパクトシティ」政策の名のもとに、人口比で全国一という多数の再開発事業が行われてきました。森市政になって以降、完成したもの、建設中のものを合わせて、総事業費では総曲輪3丁目地区までで約830億円、そのうち国・県・市からの補助金と、保留床取得額など合わせると、420億円を超える税金が投入されてきました。
●市民一人当たりの市債残高は57万円で前年度より9,444円、1.6%減少したものの、中核市平均(38万6千円)の約1.5倍と、依然として高くなっています。
●「総曲輪3丁目地区市街地再開発事業」は、旧富山西武跡地に「立山仰ぐ特等席。」を遮る異様に大きな高層マンションが出現し、目を引いています。6階以上の206戸を住宅・建設業者最大手「大和ハウス」がマンション販売する事業です。これに補助金8億6686万円。そのうち起債が2億7千万円余。総事業費、補助金ともに当初より大きく膨らみ、総事業費156億円で、国・県・市からの補助金総額は約60億円です。
●「桜町1丁目4番地区市街地再開発事業」は、今年の4月『桜町パティオ』としてオープンしました。大手ホテル「東横イン」、分譲マンション「タカラレーベン」が大きな部分を占める事業に補助金21億2031万8千円、そのうち起債が8億円余。総事業費は81億円、そのうち国・県・市からの補助金総額は約35億円になりました。ちなみにこの分譲マンションは全75戸ですが、今の時点で完売していないとのことです。
●「大型商業施設等誘致事業費」力のあるものに1億円!
この再開発ビルに入居した、「学校法人富山大原学園」には「大型商業施設等誘致事業補助金として1億円が出されました。同学校法人は、2016年4月時点で、全国で105校、基本金が1128億円だったのが、2018年4月1日時点では107校、1201億円になっている、超優良学校法人です。税金による1億円もの支援が必要だったとは考えられません。
●「高齢社会における交通と健康モニタリング調査事業」は、開発に2億円をかけた「おでかけっち」端末機の調査委託費等に、平成28年度に2500万円、さらに平成29年度約1200万円を支出してGPSで高齢者や学生等の行動を調査分析し、「高齢者の外出促進策」「高齢者に配慮した交通環境等の検討」、必要な休憩施設等を整備するなどの説明がされてきたものですが、これがどういう成果につながって行くのかは未だ不明です。
●自転車市民共同利用システム 「アヴィレ」のステーションが(1)富山大学五福キャンパス構内、(2)呉羽丘陵多目的広場、(3)民族民芸村の3カ所、自転車35台、ラック70基ほか、4632万2千円かけて増やされました。この3カ所の利用実績は今年の10月末までの7ヵ月間でこの3カ所のステーションそれぞれ、671回、173回、247回、1日当たり平均3.2回、0.8回、1.17回です。これによって、「アヴィレ」の事業に投入された税金が人件費補助を含めてついに3億円を超えました(予算額合計3億1510万1千円)。費用対効果からも非常に問題です。
私たちが昨年行った「市民アンケート」の回答では、「やめるべき」が65.2%、「続けるべき」は7.2%で、「さらなる多額の税金投入は許されません」と反対討論で申し上げたのに、この結果です。
●中心部だけのフラワーハンギングバスケットには6369万3千円もかけられました。花はきれいですが、税金の使い方にほんとうに驚きます。
●一般会計の実質収支は20億9375万円の黒字となりましたが、中心部の大型事業などに使う都市基盤整備基金に6億円積み立てられる一方、小・中学校の普通教室のクーラー設置の必要性をようやく認めながら、「1日も早く」と市民の請願もありましたが、財政的理由から導入は数年先と、中学校の電気設備調査(予算475万2千円)のみに終わりました。
民生費の不用額で福祉保健部の分は9億9千万円、こども家庭部4億6千万円、教育費の不用額が6億5千万円余出ています。こうしたお金は、次年度の福祉や教育のためにしっかり確保すべきではないでしょうか。
●道路、河川、公園の地元要望は、29年度の要望件数962件のうち、対応済み件数は412件、残件数550件、予算は約3億4千万円です。
●「行政改革」では、学校給食の単独校調理場調理業務の民間委託拡大により、人件費削減のため低賃金で「未経験」や「経験の浅い」調理従事者が多くなり、“衛生管理状況調査“でも問題が指摘されています。
●「定員適正化計画」による職員減らしでは、保育や教育、また合併した旧町村部の支所としての位置づけが廃止され、一昨年度から「行政サービスセンター」「中核型地区センター」に格下げになって人員もさらに減り、「地域のことをよく知る職員がいなくなった」、建設や納税など部門別に集約され、「相談に遠くまで行けない、困っている」などの声もきかれます。
決算から見える、このような問題から目をそらさず、市民の声に耳を傾けて、来年度予算、これからの市政に活かすべきです。
市民生活応援の福祉、教育をもっと優先させ、地域住民主体の市政へと転換を訴えまして、反対討論といたします。