日本共産党 赤星ゆかり
おはようございます。日本共産党の赤星ゆかりです。
ただいま議題となっております、
議案第1号 令和2年度富山市一般会計予算(案)について、
日本共産党の反対討論を行います。
令和2年度予算は、森市長にとっての政策的な予算の、最後の年度となります。
3月21日には、市民の「100年の夢」と言われた南北一体的なまちづくり、路面電車南北接続が完了し、南北で一つに繋がった新しいまちづくりのネクスト・ステージへと踏み出す予算です。2002年2月から今日まで、数々の大きな事業や貴重な施策を成し遂げられてきた森市長には敬意を表します。
これまで、意見が違うことも多々ありましたが、学童保育の充実や、子ども医療費助成の拡充、小中学校エアコンの設置など、私たちが繰り返し提案したり、また問題提起をしてきたものについても、しっかりと受け止めてくださり、実現されたものもたくさんあります。
新年度予算には、精神障害者の医療費助成が新規に盛り込まれるなど、前進面、積極面は評価しつつ、市政の柱とされてきた「コンパクトシティ」政策の総仕上げ予算として、「ネクスト・ステージ」への課題を、市民のみなさん、議会のみなさんとともに考えたい、こういう問題意識で討論したいと思います。
●はじめに、「コンパクトシティ」政策の中でも「人口比で全国一多い」市街地再開発事業です。
「中央通りD北地区市街地再開発事業」は、平成30年度に1億円、31年度当初予算では7億9千万円計上されましたが、事業の遅れからこの3月補正で6億800万円減額され、新年度の1億6千万円を入れた合計で4億4千200万円となります。
再開発ビル内に整備予定のアイススケートリンクは、一昨年12月の新聞で「2021年(来年・令和3年)秋に開業」と報道され、今年度(平成31・令和元年度)当初予算では竣工が平成35年(令和4年)9月予定となっていたのが、令和2年度予算(案)では令和6年と2年遅れになっています。
60億円を超える補助金が出され、昨年4月に完成した「総曲輪3丁目地区市街地再開発事業」の1階の店舗が先ごろ決まったそうですが、2~3階の商業エリアの開業も遅れているのが現状です。
(分譲マンションは、全206戸中、3月16日現在で売却済は190戸)
中央通りD北地区の再開発で建設される25階建て高層マンションが、また立山連峰を遮ります。富山の大きな空がどんどん塞がれていきます。再開発ビルに高層分譲マンションを上に載せるのは、床を売却した資金と補助金とを合わせて莫大な事業費をペイする仕組みになっているからです。
今から4年後に完成予定の新たな巨大な再開発ビルが、今の計画で、本当に将来世代に「持続可能な」ものとなるのでしょうか。「固定資産税が入ってくるからいい」というものではありません。
私たちには、この予算を、責任を持って議決するに足る十分な情報がありません。
これまでの市街地再開発事業の成果と課題を「検証」する時期に来ていると思います。
●「まちなか居住推進事業費」
「まちなか居住推進事業費」は、分譲マンションを買う市民向けの補助と、マンションを建てる事業者向けの共同住宅建設費補助もあります。体力のある大手事業者には税金で補助しなくても良いではありませんか。
「まちなか居住推進事業費」は来年度5,425万円、平成17年度から15年間で8億6千200万円余り、「公共交通沿線居住推進事業費」は来年度1億6,068万円、平成19年度から13年間で約12億9千万円が、中心市街地や公共交通の便利な地域に住宅の建設や購入の誘導に、税金が使われてきました。
こうした居住誘導策は、いつまで続けるのでしょうか。
合併15年。とくに旧6町村はどうなったかの検証に、森市長の最後の年度、ぜひ着手していただきたい。細入のデイサービス廃止には賛成できません。「まちなか」や公共交通沿線以外のところでも、郊外や中山間地でも、安心して暮らし続けられるための対策に、もっともっと知恵も予算も出してほしいと思います。
●フラワーハンギングバスケットには、来年度も6270万円
そして、中心市街地活性化施策の一つとしての「フラワーハンギングバスケット」。
先日、東京から来た人に「水やりはどうしているのか」と聞かれました。
みなさんも、これを手入れしている業者さんの様子を、ご覧になったことがおありでしょう。
高いところに取り付けられてあるため、水やりは、トラックの荷台にタンクを積んで、荷台に上がって長い柄のついたシャワーでずーーっと上の方から水をかけては、地上に降りて、トラックを前に移動して、また荷台に上がって。これを繰り返す。
枯れた花摘みも、トラックの荷台からハシゴを水平に渡して、その上をヘルメットをかぶった業者さんが這いつくばって、一つ一つ花摘みをしている。
まちが、花と緑できれいにさわやかになることには、誰も反対はいたしませんが、このやり方がベストなのか、再考が必要ではないですかと言っているのです。
花と緑のイベントでのアンケートで、「海外の街に来ているようで」評判がいいというようなご発言があったようですけれど、人々は、どこかで見た「海外の街」のような富山に来たいのでしょうか。
それとも、富山にしかない富山らしいまちを訪れたいのでしょうか。
今、あちこちで、ハクモクレンが綺麗に咲いています。早春、桜の前に柔らかな薄緑の柳の葉が芽を出します。風にそよぐ柳と、桜との美しさ。
まちなかには、桜並木、街路樹、公園、市役所の庭や花壇、四季折々の美しい花や紅葉や、実のなる樹々もたくさんあります。
ハンギングバスケットももちろん綺麗ですが、同アンケートには、「管理費用がかかり過ぎている」というご意見もあったそうです。
このフラワーハンキングバスケットは、平成19年度から今年度(令和元年度)までの総額は約6億3千万円以上、今年度(令和元年度)も292カ所で6311万円、1カ所あたり約21万6千円、来年度は富山駅北工事の関係で40カ所減の252カ所ですが、1カ所あたり3万円以上上がって約24万8千円、総額6270万円かけられます。
なによりも、この高い事業費には多くの市民の理解は得られていないのではないでしょうか。
まちを花で潤すのなら、市民や事業者のみなさんが気軽に快く、協力・参画できる市民協働の方法を「ネクスト・ステージ」へ研究していただきたい。
●学校給食の単独校調理業務民間委託の拡大に反対
次に、「行政改革」の「定員適正化計画」で職員削減は、もう見直しをと訴えてきました。必要なところに必要な人員を配置し、増員の方向に切り替わったことを歓迎します。また、「就職氷河期世代」の支援として職員募集することも大歓迎です。
ですが、学校給食の単独校調理業務民間委託の拡大には反対です。
新年度から委託予定の小学校を昨年、視察してきました。
熟練の調理員さんが少ない人数で、テキパキ効率よく給食を作り、配膳し、おかわりを子どもたちの教室に直接届けてまわり、子どもたちの喜ぶ様子、食べ具合を直接確かめて、また調理に活かす、今まで築かれてきた、こういうとても良い関係が、民間委託したらもっとよくなるだろうという要素は見つかりませんでした。
調理を民間委託した場合、栄養士または栄養職員が直接指示すると労働者派遣法違反の「偽装請負」になるので、一緒に調理したりはできなくなります。「その分、本職の食育に専念できる」とのご意見がありますが、栄養教諭または栄養職員の未配置校は、小学校65校中18校、中学校26校中19校もあり、未配置校では給食の経理を教員がしており、教員多忙化解消のためにも、全ての学校に栄養教諭または栄養職員を配置できるよう、市としても県とともに努力していただいて、豊かな「食育王国」の富山市にしていこうではありませんか。
最後に、新型コロナウィルス感染拡大と、対策の影響で、来年度は予断を許さない状況です。市民の命と健康最優先、市民の暮らしと生業を守るために、議会は党派・会派を超えて、議会と当局は立場を超えて、しっかりと協力しあってまいりましょう。そのことを訴えかけまして、討論を終わります。