日本共産党 小西直樹
「日米地位協定の抜本改定を求める意見書」提出を求める請願の賛成討論を行います。
日米安保条約と日米地位協定は1960年に締結・発行され、地位協定は安保条約6条が「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」、米軍は日本における「施設及び区域を使用することを許される」と定めたことを受けて、基地の提供の在り方及び米軍・軍人等・その家族の法的地位を定めるものとして締結されています。
日米地位協定は充分な検討・国会審議を経ることもなく、旧安保条約下の行政協定をそのまま引き継いだものです。そのため、不平等性や不合理性などの種々の問題を内在しており、さらにその解釈・運用については日米両政府の密約の影響を強く受けています。
地位協定の問題は、国民の生活・人権、国土の環境保全・有効利用に直結するものであり、これまでも米軍基地が所在する自治体をはじめとして抜本的な見直しを求める声があげられてきました。
米軍が大規模に駐留するドイツとイタリアの地位協定を見ても、ドイツでは東西統合前の1988年、航空ショーで米軍機が墜落し、70人以上が犠牲になる事故が発生し、これをきっかけに93年、地位協定はドイツ航空管制の事前許可が必要になっています。また、米軍基地内に自治体職員の立ち入りも認められ、ドイツの警察官が常駐し、騒音軽減委員会が設置されたり、自治体の意見を米軍が聴く仕組みもあります。
イタリアでも98年、米軍機がロープウェーのケーブルを切断してスキー客20人が死亡したことを受け、新たな協定を締結し、米軍の訓練の許可制度や訓練飛行への規制が大幅に強化されました。
対照的に日米地位協定は、米軍によるたび重なる事件や事故の発生にもかかわらず1960年の締結以降、一度も改定されていません。原則として米軍に国内法は適用されず、訓練の詳細情報は知らされず、地域の委員会も設置されていません。特に米軍が集中している沖縄県は地位協定の改定を求め続けており、全国知事会では昨年8月に亡くなられた翁長雄志・前沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」との訴えを受け、2年近くかけて提言にまとめ、昨年7月初めて地位協定の見直し決議を全会一致で採択しました。この度の全国知事会の提言は、米軍基地のない府県・石井富山県知事をふくむ、全員が賛成していることに大きな意味があります。政府は提言を重く受け止めるべきです。
さらに、昨年9月の沖縄県知事選において、首相官邸が全面的に支援した佐喜眞氏も、日米地位協定の改定を公約に掲げて闘われたことからも、安倍政権が公約を実現する責任があると言えます。
これらを踏まえて、速やかに日米地位協定の見直しに着手すべきであり、こうしたことを求めている請願第1号に賛成するものです。
みなさんの、ご賛同を何卒、よろしくお願いいたします。