日本共産党 赤星ゆかり
ただいま議題となっております、令和元年分請願第4号 政務活動費の議員個人への支払いを求める請願について、日本共産党の賛成討論を行います。
まず、この請願の趣旨は、「政務活動費の支払いを会派ではなく議員個人に対して行うことを検討して頂きたい。」です。
「検討してほしい」という趣旨なので、賛同します。
富山市議会は、政務活動費の不正事件を受けて、これまで、いろいろと全会派で検討を重ねて決めた新しい運用指針に基づいて政務活動費を使うようにしてきましたが、(だいたい、)今まで市民の中に議会として出向いて行って説明をしたり、自由参加の市民から直接意見を聞いたりすることは行っていません。
私は、この討論を行うにあたって、請願人の方と、改めてよくお話をしました。
私たち、富山市議会側が、議員の立場と目線で「これでいいのだ」と考えていても、市民目線から見れば、そうではないということも、あるかもしれません。
市民から、こういう方法もありますよ、という前向きな提案として受け止めて、検討することがあっても良いのではないかと考えます。
請願では、「勿論会派にかかる経費のうち、政務活動費として支払えるものもありますが、それは議員個人で使用する政務活動費を積み上げて計上すれば良いことで、制度設計上困難なことではないと思われます。」と述べておられます。
実際に、例えば上越市議会では、月に議員一人当たり2万5千円を会派に、もう2万5千円を議員個人に支給されているとのことです。
今年の2月21日付、議会事務局が調べてくださった資料によれば、全国中核市54市議会のうち、支給先が「会派のみ」は29、「議員個人のみ」は7、「会派または個人どちらか」は17、「その他」1となっています。
支給先を変えるには条例改正が必要ですが、請願を採択したら直ちに条例改正が必要、というものでもありません。検討を求めているからです。
過去の不正では、「君の分、お金余っとる? 余っとったら私に回してくれ」と、会派内で白紙の領収書を使って、先輩議員に不正にお金を回す、ということがありました。
請願人の意図は、制度としても、このようなことが絶対にできないようにしてほしいということもあります。しかし、それよりも、真面目な議員が、存分に働ける議会にしてほしい、真面目な議員がより活動しやすい議会にしてほしい、という願いが根底にある、と話されました。
それは、過去の不正があまりにも酷すぎたため、政務活動費に対して議員があまりにも萎縮してしまうのではないか、本当に正しい使い方をしてきた人まで、使いにくくなってはならない、というお気持ちで、2年前の改選の直前に、最初の「政務活動費の有効活用に向けた請願」を書かれたそうです。今度の請願も、「議員を応援したくて書かれた請願」とのことです。
そして、請願人は、(1)政務活動費使用の主体性の観点から として、
「議員を選ぶ際に市民は『会派の議員』に対してではなく、議員個人に投票します。」と述べておられます。
「そして議員活動に関しても、会派の活動ではなくて議員個人として、機敏な政務活動を行うことで、市民の負託に応えなくてはいけません。」と述べておられます。
視察や研修会に参加する以外にも、政務活動費は、もっと様々な調査や研究活動に、有効に活用することができるはずです。
例えばみなさんは、自分たちが賛成した予算で、「まちなか居住推進事業」で一度に5000万円の補助金を受けた大手マンション企業(APA・タカラレーベン)の分譲マンションや、再開発ビルのマンションに、どれくらい富山市民が所有して実際に住んでいるか、市外や県外の人が所有しているのかなど、調査したことがありますか? これにはお金がかかりますが、政務活動費を活用して、一定程度、調査をすることができます。
たとえば、新たな再開発事業について、地権者全員にご意見を聞きたい、アンケートを送りたい、そういう調査もできます。
その際に、ある一人の議員が、または複数の議員が共同で、「こういう調査をしたい」と会派内の事前審査で申請した時に、「そこまでする必要があるのか」と、会派として認められない、あるいは承認されるまで時間がかかったりしたら、どうしますか?
そういう気兼ねなく、それぞれの議員の裁量と判断で、機敏に、正しく、存分に有効活用してほしい、そのことが、市民の福祉の増進につながる、そういう請願人の願いなのです。
会派での厳重なチェック体制を外せなどということは、全く主張しておられません。
次に、(2)会派の信頼性 及び、(3)会派の定義に関して、
例えば前回の請願提出後の3月8日に行われた住民監査請求では、議員個人が特定できないにも関わらず、会派に対して出された請求案件が多々ありました。その他過去の事例からも、会派そのもののモラルが問われるなかで、政務活動費を前払いするだけの信頼を、獲得している状況にあるとは思えません。と、述べておられます。
過去の不正では、会派内で白紙の領収書が使いまわしされたり、その他、不正の手口そのものが使いまわしされていました。
3月8日の「市民の会」の住民監査請求では、白紙の領収書を使い、印刷物の「成果品」を使いまわした元議員の新たな架空請求が明らかになり、これをきっかけに、その同じ会社の領収書を使った他の架空や水増し請求も見つかり、お金が返還されました。これは3年前には元議員が、マスコミに取材された折、「実際に印刷した」と言い張っていたもので、会派も不正とは認めていなかったものです。
ですから、「会派そのもののモラルが問われる」、まだ、「信頼を獲得している状況にあるとは思え」ないという、請願人のお気持ちはよくわかります。
それにしても、この請願を審査した総務文教委員会では、自民党会派の委員のお二人から、紹介議員の金井議員には多くの質問を用意して質問されていましたが、紹介議員の回答だけでは請願人のお考えがよくわからない、という風でしたので、私は、目の前で傍聴しておられる請願人ご本人にお聞きしたらよいではないですかと、富山市議会委員会条例の第68条に基づく参考人の出席を求める動議を出したのですが、反対して否決されたのは、なぜでしょうか。私はたいへん違和感を覚えました。
市民に参加していただく、という改革が、まだできていない富山市議会を象徴する姿であったのではないでしょうか。
請願の最後に、「改選前直前の政務活動費のあり方検討会においては、新しい議員構成で運用指針をより良いものに見直していくという風に見受けられました。そしてどのようにブラッシュアップされるかについて注視しております。本請願内容も含めて、市民の誰もが納得できる運用指針とする為の活発な議論がされることを、合わせて請願いたします。」と述べられています。
議員のみなさんのうち、最初から請願を不採択にする相談をして臨んでおられる方はおられませんか? そうではなく、市民と直接よーく対話して、いろんな意見に耳を傾けて、活発に議論をしませんか。このことを呼びかけて、請願採択を呼びかける、賛成討論といたします。