令和2年分請願第2号 委員会中継のネット配信を求める請願 賛成討論
令和2年分請願第3号 富山市議会議員の定数を削減することを求める請願 反対討論
日本共産党 赤星ゆかり
ただいま議題となっております請願2件について、日本共産党として、一括して討論を行います。
はじめに、令和2年分請願第2号「委員会中継のネット配信を求める請願」について、採択を訴える賛成討論を行います。
議会運営委員会ではこの請願を不採択にする理由として、本会議のネット中継のアクセス数が、伸び悩みどころか減っていることについて、嘆く委員もおられました。2年前にも「議会改革検討調査会」で、アクセス数が少ないことに「愕然とした」「猛省しなければならない」というような意見がありました。では、その後、議会として中継の視聴が増えるような努力をどのようにしたのでしょうか。「観られないから中継しない」というのでは、理由になりません。
請願人はこれまで、どうすれば議会が市民にとって身近なものになるのか、どうすれば政務活動費が市民に身近なところで使用されるかを考えて、ずっと提案して来られました。
そうした請願をずっと採択することなく来た議会側からの「アクセス数が伸びない」という指摘を、どのような気持ちで聞いておられたでしょうか。
また、「時期尚早」という声がありましたが、そうでしょうか。
6月、緊急事態宣言が明けて間もない頃、議会の傍聴に来るのもはばかられる、そういう時期に、委員会中継がなければ審議の様子がわからない、そういう時にこの請願は出されました。
9月議会の今、その頃からはいくらか状況は変わったものの、富山市議会H.P.には、本会議・委員会の傍聴については「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、しばらくの間、傍聴は極力ご遠慮いただきますようお願いいたします」と今も書かれています。
人類の未知のウイルスのパンデミックという大きな情勢の変化、これから先も地球温暖化、大規模な自然災害、何が起きるかわかりません。このような社会情勢を迎え、すでに導入の「時期」はとうに来ているのではありませんか。どこにいても、市民がネットで、パソコンで、スマホで、タブレットで、議会の様子が観られることが求められています。現に、富山県議会では、常任委員会の中継が試行実験中です。
また、「ランニングコスト」についての意見がありました。
9月5日の議会運営委員会において委員から、委員会のインターネット中継の全国中核市議会での導入状況、導入および運営にかかる費用を調査して資料提供を求める意見が上がり、9月18日の議運までに議会事務局が調査し資料提供がありました。
そこで示されたのは、イニシアルコストとして、1カ所での固定カメラと会議用マイクなどの映像配信設備等の導入に約858万円、年間のランニングコストとして約233万2千円という見積もりでした。
しかし、請願人が述べておられるとおり、もっと安価に導入している議会は、調べればわかります。
例えば2年前にも紹介しましたが、上越市議会。マイクは元々あったので、1つの委員会室に固定カメラと配線の工事費用で93万4500円、運営費用はYouTubeを使って配信しているのでインターネット使用料ぐらいしかかからないとのことです。
発言する議員はもともと立ち上がって質問していますから、「誰が発言したかわからない」ということはありません。
富山県議会は、カメラのついている委員会室で行うので、年間の試行経費は録画経費2回分で36万円、配信経費半年間で28万円とのことです。
請願人が述べられたとおり、「大きな改修や経費の伴わない方法」での配信を、よく研究して行うべきなのです。
それに、このような調査研究を、先の6月議会で「継続審査」にした後、なぜ、直ちに取り組まなかったのでしょうか。3ヶ月間、議会として何か調査研究したでしょうか。請願人は、6月議会で「継続審査」にされたあと「耐えられない」と、請願取り下げを申し出られたのに、「これが、取り下げ願いを否決までして継続審査にした結果なのでしょうか。この度の『不採択』はあまりにも理不尽」と、たいへんお怒りです。
改めて、採択を強く訴えます。
続きまして、令和2年分請願第3号「富山市議会議員の定数を削減することを求める請願」について、請願された方には申し訳ありませんが、反対討論で、定数削減に賛成できない理由を申し上げます。
請願では、「映画『はりぼて』の予告編を視聴し、改めて富山市議会に対して不信感を抱くとともに、憤りを覚えた」、そして、「前回の選挙では、新しい議員を選んだことにより、過去の政治悪から脱却し、議会の改革が進んで、『富山市民であることが恥ずかしい』という思いをしなくなることを期待した」と述べられています。
映画『はりぼて』は、富山で一番若いテレビ局、チューリップテレビが、4年前の議員報酬10万円引き上げを主導していた議員の政務活動費の不正受給をスクープし、これをきっかけに芋づる式に14人もの議員のドミノ辞職、補欠選挙、本選挙、その後の新たな不正の発覚、市民による住民訴訟、刑事裁判、木下議員の事件、辞職勧告決議などなど、富山市議会のその後3年間の取材を重ねた、報道ドキュメンタリー映画です。私は、金沢で本編を観てきました。
改選から3年半経って、過去の架空請求などの不正が、まだ決着がついていない、新たに発覚しても議員が辞めない、新しく選ばれた議員が不法侵入の罪を犯す、辞職勧告決議をあげても居座る、こういう状態では、市民の不信感が払拭できず、「自浄能力がない」と言われてしまうのも仕方がなく、たいへん残念です。
改選後の富山市議会で、議会基本条例は作っていない、委員会のネット中継は行わず、議会として市民の中へ出かけて行っての議会報告会や市民との意見交換会も行っていない、議会全体としての働きぶりが「市民に見える姿勢」になっていないことが問題と考えます。
今回、市民から、このように「議員定数を減らせ」という請願や陳情が出されたことの意義を重く受け止めて、過去の不正を一掃し、真の反省に立った、市民に開かれた議会改革を進めるしかないと思います。
しかし、「定数削減」と、「議会改革」とは別物です。
実際に、『はりぼて』にも登場した、政務活動費の不正発覚で辞職した元議員14人の、2013年4月投開票の市議選での順位と得票数を見ると、
1位6305票、(2位5271票)、3位5066票、4位4961票、6位4939票、7位4836票、(13位4539票)、16位4405票、18位4176票、20位4136票、23位3927票、25位3891票、26位3850票、36位3555票、37位3276票、38位2718票と、
1位当選者から38位までおり、そのうち、10位以内の上位当選者が5人、8人が定数40人の半分以上20位までに入り、4000票以上の得票をしています。
ここから何を感じるでしょうか。
有権者が、ちゃんと市民のために働くと思う人を見極めていただいて、入れ替えができるように、選挙があります。
議員定数に関する識者の意見を調べますと、全国市町村議会議長会政審幹事会小委員会の「議員定数の考え方について」では、
「議会の代表機能という観点からは、議会は住民の年齢層、性別、職業、各地域等からまんべんなく選出された議員で構成されていることが望ましく、単に人口規模によってのみ議員定数を論じるべきでないことは言うまでもない」
「議員定数は、『行政改革』や『経費節減』といった観点からのみ論じるのではなく、人口、面積や職域等に応じた住民の多様なニーズや意思を正確に反映させることが大事であり、全住民を代表するにふさわしい数が望ましい」と述べています。
議員定数の削減は、組織力や資金力を持たない新人、若者や女性、人口の少ない地域など、多様な候補者が当選できる可能性を狭めてしまうことになります。
日本共産党は引き続き、市民の財産を守り、社会福祉の向上に努め、適正な税の執行に力を尽くすことをお誓いし、議員定数削減には反対であることを申し上げ、請願への討論といたします。