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議員定数削減を求める条例改正の陳情(反対討論)、富山市立小・中学校教諭の過酷な超過勤務是正に関する陳情(賛成討論)

カテゴリー: 議会報告

・令和2年分陳情第19号 議員定数削減を求める条例改正の陳情 反対討論
・令和2年分陳情第20号 富山市立小・中学校教諭の過酷な超過勤務是正に関する陳情 賛成討論

日本共産党 赤星ゆかり

ただいま議題となっております陳情2件について、日本共産党として一括して、討論を行います。

先に、令和2年分陳情第20号「富山市立小・中学校教諭の過酷な超過勤務是正に関する陳情」についての賛成討論を行います。

この陳情に当たって、陳情人の方に参考人として総務文教委員会で意見陳述をしていただきました。身近な方から、小学校教諭をしている娘さんの帰りが毎晩9時、10時になると心配の声を聞いたことをきっかけに、調査をされたとのことです。

情報公開請求で入手した資料をもとに調査され、大切な問題を、私たち議会に提示してくださったことに、敬意を表し、感謝申し上げます。

陳情書に添付された令和元年度の4月から12月の資料では、市立中学校26校の4月の超過勤務の平均は79時間4分ですが、80時間から90時間までが5校、90時間を超えていた学校が6校あり、もっとも多いところでは110時間を上回った学校もあることがわかります。

このほか、陳情人の方からは、その後の調査で、仕事を「持ち帰り」している時間も多くなっていることがわかったとのお話もありました。

富山市教育委員会によれば、全体には、超過勤務は減少傾向とのことで、市教委としても、様々な新しい方法を取り入れ、教職員の働き方改革に努力されているところであることは十分承知しておりますが、今回、全体の平均で見るとわからなかった個別の状態がわかり、子どもたちを守る先生方の健康が、本当に心配になります。

根本的には、教員を増やすしかないといいます。そのことは、議会としても、党派会派の違いを超えて、当局と一緒になって、県や国に強く求めていかなければなりませんが、教育委員会におかれては、引き続き、個別具体的な調査を行い、市民と私たち議会にも明らかにしていただくことで、ともに改善策を探っていくことは必要だと思います。

総務文教委員会では、参考人の意見陳述と質疑応答、教育委員会との質疑応答と、ほとんどの委員が発言し、約1時間半、活発な議論となりました。誰も陳情された方の意思には反対だという意見はありませんでした。この陳情を採択すべきです。

続きまして、令和2年分陳情第19号「議員定数削減を求める条例改正の陳情」について、議会改革を求めるお気持ちを痛いほど感じますが、そのためにも、議員定数削減はすべきではないと考えますことから、反対の討論をさせていただきます。

陳情の理由の中では、
「議員定数の減少は、具体的に市民サービスに不都合や悪化をもたらしません」と述べておられます。

このことについて、議員定数に関する識者の意見を調べてみますと、元全国都道府県議長会議事調査部長の野村稔氏は、
「執行機関をチェックする者がいなければ、地域の均衡ある適正な行政、能率的な行政、住民の要望に即応した行政を確保できない。議会の批判監視機能の低下は、最終的には住民自身がマイナスを受ける」
「残念ながら住民意思の反映は数量化できないので、マイナスを量的に、又は金額で表示できない。この反面、議会は減少した議員数でも運営できるから、弊害が生じないような印象を議員や住民に与えている」
「議員が減れば批判監視機能が確実に低下するのに、それが表面化していないだけである」このように述べています。

議員定数削減は、行政への批判監視能力の低下をもたらし、最終的には、住民自身がマイナスを受けることに繋がります。

また、陳情では、
「議員の減少は、議員一人当たりの人口が多くなるため、市民の思いを酌み取りにくくなるという意見もありますが、その対策を考えればよいのです。
 例えば、各地域協議会を設けて市民の意見を広く、積極的に酌み取る制度をつくるとか、議員が分担して市民に向きあい、要望や問題を聴き取る方策を練ればよいと思います」というご提案をいただいています。

実は、「地域協議会」については、日本共産党としては、平成18年3月議会を始めとして(H18.3月、H18.9月、H26.12月、H29.3月)、何度も提案してきました。合併特例法から地方自治法に基づく地域自治区・地域協議会を導入している上越市に視察にも行きました。

ですが、これまでの市の見解は、「地方自治法に基づく地域自治区を新たに導入することは考えておりません」と、変わっていません。

次の市長はどのような政策の方がなられるか未知ですけれども、首長の方針を覆すには、議会で条例案を議員提案し、可決するには過半数の勢力が必要です。

地方議会には「与党」も「野党」もありませんが、住民の願いを形にする議員提案の政策実現には、多様な議員が存在できることが決め手だと思うのです。

4年前の11月、それまで28人だった最大会派の議員が補欠選挙までに10人辞職し、補欠選挙で1人増え、選挙後にまた1人辞職で39人中18人になりました。その後12月には、6月議会で36対3で可決した議員報酬10万円引き上げを賛成多数で撤回することができました。

先ほどの請願への討論でも述べましたとおり、多様な人が議員に当選できる枠を狭めることは、皆さんの願い実現をさらに遠のけてしまう可能性があります。

「議員が分担して市民に向きあい、要望や問題を聴き取る方策」としては、議会報告会や市民との意見交換会などの議会改革を提案してきましたが、これも多数の合意に至っていません。

陳情では、また、
「現状を見ていますと議員の働きぶりが市民に見えて来ないのです。議会自体の消極性が見え、チャレンジ性がないのです。議会及び議員の働き具合が具体的、客観的に事実記録として現れて欲しのです」とも述べておられます。

一人一人の議員は、地域や団体や、それぞれのところで報告会や懇談会などを開いているでしょうけれども、議員のいない地域や接点のない市民、住民には「見えない」と言われるのはよくわかります。陳情者の方のご指摘は、富山市議会全体としての動きを指しておられます。市民に開かれた議会改革として、議会基本条例を作り、その中に位置付けて議会報告会や意見交換会など、市民と直に対話する仕組みを今こそ作るべきです。

この3年半の間、議会基本条例の制定を始め、政務活動費のあり方や議員の政治倫理条例制定など、議会改革に関する請願や陳情がどれだけ出されたことでしょうか。そのうち、一つも採択してきませんでした。

そして今回の陳情については、議会運営委員会で、意見の一つもありませんでした。

市民からの意見、提言に、もっと真摯に、丁寧に、向き合うべきではないでしょうか。

以上、議会改革を推進すべきことを申し上げ、定数削減には反対の立場からの討論といたします。

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